知人の紹介で
 今、一瞬だけ姿を現した湊斗は、いつもとは違って、前髪を上げ、眼鏡も外していた。初めて見る湊斗の顔はとてもきれいで純花はそれに驚いたが、湊斗が顔を覆ってドアを閉めたところを考えれば、その顔を見られるのが嫌だったのだとすぐにわかった。

「えっと、湊斗くん?」

 控えめにノックをしてみれば、少しして湊斗がドアを開けてくれた。今度はいつものように前髪と眼鏡でその顔を隠している。

「……何?」
「携帯電話を忘れてしまったみたいで、ちょっと探させてもらってもいいかな?」
「……どうぞ」
「ありがとう」

 湊斗がドアを大きく開けて中へ促してくれたから、純花はありがたく中へ入らせてもらった。

 中央にあるミニテーブルを見てみれば、その端のほうに自分の携帯電話があった。

「あ、あった! よかったー。湊斗くん、ごめんね、邪魔して。それじゃあ、また明後日ね」

 湊斗はかなり動揺していたようだし、早く去ったほうがいいだろうと、純花は携帯を取ってすぐに部屋を出た。

 再び玄関まで行けば、湊斗の母がお土産を渡してくれたから、純花は礼を言ってそれを受け取り、自宅へと帰っていった。
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