知人の紹介で
その二日後。純花は早速用意したテスト対策を中心に湊斗に教えていた。
湊斗は純花が用意した問題を黙々と解いていく。集中している湊斗を邪魔しないよう、純花は後方で翌週以降の準備をしていた。
でも、そこから十分くらいした頃、湊斗が唐突に純花に不思議なことを問うてきた。
「あの、何も言わないの?」
「え? 何もって?」
「……いや、何でもない」
何か湊斗に言うことはあっただろうかと考えてみてもさっぱりわからなかった。湊斗の言っていることが何なのか気にはなったが、湊斗はまたすぐに問題に集中しはじめたから、純花もそれ以上は考えず、すぐに指導準備のほうへと意識を切りかえた。
結局、湊斗の言いたかったことはわからないまま終了予定時刻を迎え、純花はテキパキと帰り支度を済ませた。
「じゃあ、湊斗くん、また来週ね」
「……あの」
「うん?」
「ありがとう。ちゃんと教えてくれて」
湊斗がそうやって自分から何かを言うのも、自分の思っていることを言うのも初めてだった。いつもこちらが訊いたことに対して、必要最低限のことしか言わないのだ。なんだか心を開いてくれたようで、純花はとても嬉しかった。
「え? ふふふ。私は湊斗くんの先生だから、教えるのは当然だよ。湊斗くんの成績が上がるように私も頑張るからね」
「ありがとう……純花さん」
はっきりと純花の目を見ながら言ってくれた。本当にこんなこと初めてだ。名前を呼んでくれたのだって初めてだ。嬉しくて、嬉しくて、少し泣きそうなくらいだ。湊斗が志望大学に合格できるよう精一杯協力してやろうと純花は固く誓った。
湊斗は純花が用意した問題を黙々と解いていく。集中している湊斗を邪魔しないよう、純花は後方で翌週以降の準備をしていた。
でも、そこから十分くらいした頃、湊斗が唐突に純花に不思議なことを問うてきた。
「あの、何も言わないの?」
「え? 何もって?」
「……いや、何でもない」
何か湊斗に言うことはあっただろうかと考えてみてもさっぱりわからなかった。湊斗の言っていることが何なのか気にはなったが、湊斗はまたすぐに問題に集中しはじめたから、純花もそれ以上は考えず、すぐに指導準備のほうへと意識を切りかえた。
結局、湊斗の言いたかったことはわからないまま終了予定時刻を迎え、純花はテキパキと帰り支度を済ませた。
「じゃあ、湊斗くん、また来週ね」
「……あの」
「うん?」
「ありがとう。ちゃんと教えてくれて」
湊斗がそうやって自分から何かを言うのも、自分の思っていることを言うのも初めてだった。いつもこちらが訊いたことに対して、必要最低限のことしか言わないのだ。なんだか心を開いてくれたようで、純花はとても嬉しかった。
「え? ふふふ。私は湊斗くんの先生だから、教えるのは当然だよ。湊斗くんの成績が上がるように私も頑張るからね」
「ありがとう……純花さん」
はっきりと純花の目を見ながら言ってくれた。本当にこんなこと初めてだ。名前を呼んでくれたのだって初めてだ。嬉しくて、嬉しくて、少し泣きそうなくらいだ。湊斗が志望大学に合格できるよう精一杯協力してやろうと純花は固く誓った。