知人の紹介で
 結局、その次の模試で湊斗は見事にA判定を出し、純花を大層驚かせた。湊斗は純花が抱きしめてくれたおかげだというが、どう考えてもこれは彼の実力だ。むしろようやく本来の力を発揮できたといっても過言じゃないと思う。

 これで自信がついて、本番でもその力が発揮できればいい。彼の実力でならきっと合格は間違いない。その力を発揮できないことだけが純花は心配なのだ。

 湊斗はその純花の心配を刺激するように、純花の抱擁がほしいと言ってくるようになったものだから、試験前に湊斗を抱きしめるのがもう癖になってしまった。

 抱擁を重ねるたびに、純花の心にはとある感情が色濃くなっていくのだが、純花はそれをずっと見ない振りをしてやり過ごした。

 そうして純花がなんともいえぬ感情を持て余す一方、湊斗はすこぶる調子がよかった。純花の力がなくても、きっともう立派に受験を乗り越えられるはずだ。
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