知人の紹介で
　そんな出来事から一ヶ月が経ち、あのときの腹立たしさや申し訳なさも思いださなくなったそんな頃、千景はまたもやあのときと同じ場所でその正義感を振りかざしていた。

「ちょっと！　あなたたち今割り込んだでしょ！」

　あの日以来、なんとなく避けていたそのカフェに久しぶりに足を運んだ千景。だが、入店早々、目の前で繰り広げられた光景に千景は怒りをあらわにしていた。

　千景の目の前には困り顔の小学生の女の子。そして、そのさらに前には大学生と思しき男性三人が立っている。

　千景が入店した時点で女の子はレジに並んでいたのだが、千景がその後ろに並ぼうとする直前に、男性三人が女の子の前に割り込んできたのだ。

「は？」

　男性三人のうちの一人が不満をあらわにした表情で千景にすごんでくる。

「その子が先に並んでたでしょ？」
「知らねえよ」
「私がこの目で見てたんだから」
「だから、知らねえ。うるせえな」


　割り込みを認めず、少女の前から動こうとしない若者たちに苛立つ千景。少女の後ろに回るよう、千景はもう一度はっきりと文句を言おうとしたが、それは思わぬ人物によって阻止されてしまった。
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