知人の紹介で
大人の男性なだけあって、千景が少々体重を預けたところで、和巳はびくともしない。千景が立ち上がれば、和巳はゆっくりとではあるが千景を支えたまま歩きはじめた。このまま駅まで連れて行ってくれるのだろうか、なんて考えていれば、和巳は一台の車の前で立ち止まり、その車の助手席のドアを開いて、千景を振り返った。
「乗れ」
「え?」
「その足でどうやって帰るんだ?」
どうやらこれは千景のことを送ってくれるつもりらしい。だが、ここまでしてもらうのは申し訳なさすぎる。
「でも……」
「いいから、乗れ」
和巳はその選択以外は認めないとばかりに強い圧で千景を促してくる。ここでごねても余計に迷惑をかけそうだ。千景は本当にもう身の置き場がない気持ちになりながらも、大人しくその車へと乗り込んだ。続いて和巳も運転席に乗り込む。日向と呼ばれていた男は車には乗らずに、どこかへと消えていった。
「自宅の住所を教えろ。自宅が嫌なら、最寄りの駅でもいい。とにかく自力で帰れるところまで案内しろ」
自宅を知られたところで、この男がそれを悪用するとも思えない。千景がそう躊躇わずに自宅の住所を告げれば、和巳はナビを設定してあとは何も言わずに車を発進させた。
車内には音楽も何もかかっていないし、二人とも無言を貫いている。しーんと静まり返っていて沈黙が痛いが、今の千景に何かを言える力はない。自宅に着くまでの間、千景はただただ黙って前方を見つめ座っていた。
自宅に到着すれば、さすがに「ありがとうございます」と礼を述べたが、和巳は特に何も言わずに千景を降ろすとすぐに走り去ってしまった。
「乗れ」
「え?」
「その足でどうやって帰るんだ?」
どうやらこれは千景のことを送ってくれるつもりらしい。だが、ここまでしてもらうのは申し訳なさすぎる。
「でも……」
「いいから、乗れ」
和巳はその選択以外は認めないとばかりに強い圧で千景を促してくる。ここでごねても余計に迷惑をかけそうだ。千景は本当にもう身の置き場がない気持ちになりながらも、大人しくその車へと乗り込んだ。続いて和巳も運転席に乗り込む。日向と呼ばれていた男は車には乗らずに、どこかへと消えていった。
「自宅の住所を教えろ。自宅が嫌なら、最寄りの駅でもいい。とにかく自力で帰れるところまで案内しろ」
自宅を知られたところで、この男がそれを悪用するとも思えない。千景がそう躊躇わずに自宅の住所を告げれば、和巳はナビを設定してあとは何も言わずに車を発進させた。
車内には音楽も何もかかっていないし、二人とも無言を貫いている。しーんと静まり返っていて沈黙が痛いが、今の千景に何かを言える力はない。自宅に着くまでの間、千景はただただ黙って前方を見つめ座っていた。
自宅に到着すれば、さすがに「ありがとうございます」と礼を述べたが、和巳は特に何も言わずに千景を降ろすとすぐに走り去ってしまった。