知人の紹介で
 またしても和巳に迷惑をかけてしまった。もう罪悪感がすごい。

 しかも、その罪悪感は眠って一夜が明けてもなくならない。仕事に励んでみてもなくならないし、愛子と楽しい時間をすごしてもなくならない。一週間が経ってもなお、消えてなくならなくて、千景はとうとう一つの行動に出た。



 きっと向こうは千景の顔など見たくもないだろうが、それでもこのままでいることはどうしてもできなくて、千景は詫びと礼を兼ねた品を用意し、例のカフェへと久方ぶりに足を運んだのだ。

 もちろんそのカフェに和巳がいるという保証はない。だが、なんとなくそこでなら会えるような気がして、千景はそこへ向かっていた。

 もしも会えなかったなら、愛子から彼の名刺を見せてもらって、その連絡先へ連絡すればいい。そう考えていた千景だが、どうやらその必要はないらしい。店内の座席に和巳の姿があった。


 千景は真っ直ぐに和巳のところまで歩いていく。彼の目の前で立ち止まり、「あの」と声をかけた。

 和巳はその声に反応し、千景にちらりと目線を寄こすと一瞬だけ目を見開いたが、でもすぐに目線を元に戻してコーヒーに口をつけた。

 関わるなというオーラが和巳から伝わってきて怖気づきそうになる。だが、せっかく会えたこのチャンスを無駄にはできない。例え、このまま無視されたとしても謝罪とお礼だけはしておきたい。

 千景は和巳の態度にはもう構わず、彼に言いたかったことを言葉にした。
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