知人の紹介で
「奥の部屋空いていますか?」
バーのマスターと思しき男性に和巳がそう尋ねると、その男性はきれいな微笑みを浮かべて頷いた。
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
和巳が目線で合図するから大人しく彼に従ってついていけば、少し奥まったところにある個室へと案内された。中に入ればまたも目線で座るよう促してくるから、千景もまた大人しく和巳の向かいへと座る。そうすれば和巳はようやく千景に話しかけてくれた。
「夕飯まだだろ? 好きなものを頼んでいい。酒も飲みたければ好きなものを頼め。俺の奢りだ」
奢ってくれるのはありがたいが、それよりもまずはここへ来た理由を教えてほしいものだ。なんでわざわざ夜にここへ連れて来たのかさっぱりわからない。
「ねえ、なんでここに連れてきたの?」
「君があれこれと訊きたそうな顔をしているからだろ」
「え?」
「カフェでは人目が多くて話せないからな。ここでなら答えてやる」
どうやら和巳の話も聞いてみたいと思っていたのがばれていたらしい。確かにここでなら人目がないし、話しやすいのかもしれない。だが、ここへ連れてきてまで、千景に話をしてくれるだなんてどういう風の吹き回しだろうか。
和巳にとっては千景などただの退屈しのぎだと思っていた。別に友人になったわけでもないのだし、彼がこんなことをする義理もないだろうになんとも不思議なことだ。
「なんで? 別に私が訊きたそうにしてても放っておけばいいのに」
「ふっ。さあ、なんでだろうな」
和巳はそれしか言わず、どうしてここまでしようと思ったのかは教えてくれなかった。
バーのマスターと思しき男性に和巳がそう尋ねると、その男性はきれいな微笑みを浮かべて頷いた。
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
和巳が目線で合図するから大人しく彼に従ってついていけば、少し奥まったところにある個室へと案内された。中に入ればまたも目線で座るよう促してくるから、千景もまた大人しく和巳の向かいへと座る。そうすれば和巳はようやく千景に話しかけてくれた。
「夕飯まだだろ? 好きなものを頼んでいい。酒も飲みたければ好きなものを頼め。俺の奢りだ」
奢ってくれるのはありがたいが、それよりもまずはここへ来た理由を教えてほしいものだ。なんでわざわざ夜にここへ連れて来たのかさっぱりわからない。
「ねえ、なんでここに連れてきたの?」
「君があれこれと訊きたそうな顔をしているからだろ」
「え?」
「カフェでは人目が多くて話せないからな。ここでなら答えてやる」
どうやら和巳の話も聞いてみたいと思っていたのがばれていたらしい。確かにここでなら人目がないし、話しやすいのかもしれない。だが、ここへ連れてきてまで、千景に話をしてくれるだなんてどういう風の吹き回しだろうか。
和巳にとっては千景などただの退屈しのぎだと思っていた。別に友人になったわけでもないのだし、彼がこんなことをする義理もないだろうになんとも不思議なことだ。
「なんで? 別に私が訊きたそうにしてても放っておけばいいのに」
「ふっ。さあ、なんでだろうな」
和巳はそれしか言わず、どうしてここまでしようと思ったのかは教えてくれなかった。