知人の紹介で
 翌朝、目覚めれば見覚えのない天井が目に入ってくる。真横には昨日肌を触れ合わせたその男がいるとわかる。千景は嬉しいやら、恥ずかしいやら、そして、面白くないやらで、和巳に背を向けて横になった。

「なんだ、今さら拗ねているのか?」

 和巳はどうやら先に起きていたらしい。千景の行動を拗ねたと捉えたようだ。

「……何回すれば気が済むのよ。体だけの関係なんて私はいらない」
「ははっ。うちのお姫様はすぐにご機嫌斜めになるな」
「あなたのお姫様なんかじゃない」

 昨日あれだけ体を重ねてもこの男は肝心の言葉は口にしなかった。千景も口にできなかった。その一歩を踏みだすのが怖いのだ。この人は普通の人ではないとわかっているから、求めていいのかわからない。思わず口にしてしまいそうなその言葉を昨夜はずっと堪えていた。

「千景」
「何」
「こっち向け、千景」

 渋々和巳のほうへ体を向ければ、和巳は優しく千景の頬に触れてきた。
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