人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
夜会への招待状
王都から帰った翌日、ヴァイオレットは早速イヴァンに買ってもらった薄い紫のドレスを着て、昨日買ったばかりの本を読んでいた。本を熱心に読んでいるヴァイオレットにふと影が落ちる。アイリスかリオンかとヴァイオレットが顔を上げれば、そこにはイヴァンがいた。

「その本は確か昨日買っていた本だったね。面白い?」

「はい。とっても面白いです!」

ヴァイオレットは本をイヴァンに見せ、満面の笑みを見せる。イヴァンも優しく笑った後に「隣、いいだろうか?」と訊ね、ヴァイオレットは頷く。ヴァイオレットの隣に、イヴァンは「ありがとう」と言いながら座った。

「どんな物語なの?」

「異国の童話集です。世界にはこんなにたくさんの童話があるのだと驚いています」

ヴァイオレットが目を輝かせていると、イヴァンが不思議そうに「童話集、読んだことがないのか?」と訊ねる。ヴァイオレットはその言葉に「えっと……」と目を左右に動かしながらボソボソと言った。
< 101 / 224 >

この作品をシェア

pagetop