人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ファーストキス
イザベル・ランカスターとしてイヴァンに嫁ぐはずだったヴァイオレットだったが、偽物であることがバレてしまったことに戸惑い、手が小刻みに震えてしまう。

(どうしてこんなに早くバレちゃったの!?私、淑女としての振る舞い間違っていたかしら?)

混乱する頭を抱えたくなる衝動を堪え、ヴァイオレットはイヴァンをチラリと見る。イヴァンは何かを考え込んでいる様子だった。ヴァイオレットの顔は真っ青になっていく。

(領主様、それも王族との繋がりが深い方を騙そうとしたんだもの。きっと私は無事ではいられないはずだわ。私、これから何をされるのかしら……)

恐ろしい拷問にかけられ、殺された後はこの屋敷の近くの森に捨てられるのではないか。そんな考えが頭をよぎり、恐怖がさらに増していく。そんな中、イヴァンがアイリスに声をかけた。

「アイリス、今日はいい天気だし庭にテーブルを出してお茶していいかな?」

「かしこまりました。すぐに準備致しますので、少々お待ちください」

アイリスは頭を下げ、部屋を出て行く。静かにドアが閉められ、この部屋にはヴァイオレットとイヴァンの二人きりだ。
< 27 / 224 >

この作品をシェア

pagetop