両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「ご両親から聞きました。翔真さんはちゃんと望まれて生まれて愛されて育ってきたって」
 眉をひそめた俺に、彩菜はゆっくりと話し出す。
「翔真さんの実の母親とお義父様の関係は不倫ではなく、結婚する前に付き合っていた女性だったそうです。お互いに尊敬し合い愛し合っていたけれど、大企業の後継者だったお義父様にお見合いの話が持ち上がった。それを知ったお母様は自分は不釣り合いだからと自ら別れを告げたそうです。お義父様は彼女への気持ちはあったけれど、会社を継ぐという責任感からお見合いを受けることにした」
「そうだったのか……」
 その見合い相手が母だろうと納得する。
「当時、お義父様は彼女が妊娠していたことも知らなかったそうです。とても自立心が強い女性で、ひとりで翔真さんを育てるつもりだったんじゃないかって」
「じゃあ、どうして俺は吉永家に? 実の母に捨てられたんじゃ」
「突然の交通事故だったそうです。まだよちよち歩きの翔真さんと道を歩いている最中に、暴走した車に……」
 彩菜は苦しそうに顔をしかめる。
「お母様は咄嗟に翔真さんをかばったそうです。駆けつけた周囲の人に『お願いだから、この子を助けて』と何度も繰り返していた。翔真さんのことを本当に愛していたから」
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