両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 その証拠に、夫婦になって半年が経つけれど、彼に抱いてもらえたのはたった数回だけだし、それにキスだって……。
「彩菜ちゃん?」
 私がうつむくと、萌絵さんが心配そうに名前を呼ぶ。慌てて気持ちを切り替えて笑顔を作った。
「今日取材を見に来たのも、たまたま通りがかっただけですよ。それなのに翔真さんがかっこよすぎてドキドキしちゃって大変でした」
 ショールームに翔真さんが現れたときのことを思い出し、両手で顔を覆う。
「ドキドキしちゃって大変って。幼なじみとして小さなころから一緒に育ったうえに、結婚して半年も経つんだから、自分の旦那様の顔なんてもう見慣れたでしょ?」
「見慣れるわけないじゃないですか……!」
 あきれ顔の萌絵さんに反論する。
 三百六十度、どの角度から見ても整った美しい顔。モデルさながらの引き締まった長身。上品な佇まいに穏やかな口調。落ち着いていて優しい性格。そして聞くだけでとろけてしまいそうな甘い声。
 欠点なんてひとつも見つけられない完璧で魅力的すぎる翔真さんに、そう簡単に慣れるわけがない。
 結婚し一緒に暮らし始めて半年。私は毎朝、翔真さんと顔を合わせるたびに彼のかっこよさに驚き心臓が止まりそうになる。
 慣れるどころかときめきは増す一方だ。
 もしかしたら、彼の魅力は日に日に増え続けているんじゃないだろうか。
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