両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 驚いて見上げると、翔真さんが私を腕の中に抱き見下ろしていた。
「大丈夫?」
 端正な顔にのぞき込まれながら問われ、全身の血が頭にのぼる。
「す、すみませんっ!」
 転びそうになった私をすかさず抱きとめてくれるなんて、王子様みたいだ。本当にかっこよすぎる!
 そんなやりとりを見ていた悠希が、あきれたようにため息をついた。
「そうやって、わざといちゃついて見せつけんなよ」
 悠希の言葉に「わ、わざとじゃないから……!」と慌てて否定する。
「いや、兄貴は絶対わざとだろ」
 顔をしかめた悠希に向かって、翔真さんはにっこりと微笑んだ。
「そんなつもりはなかったけど、見せつけたように感じたなら謝るよ」
 穏やかにそう言って私を抱き寄せていた腕を緩める。密着していた体が離れ、ほっと息を吐き出した。
「相変わらず独占欲が強いよな」
「独占欲じゃなく、大切にしているだけだよ」
「どうだか」
 ふたりの会話の意味が理解できずに首をかしげる。
「なんの話ですか」
 私の問いかけに、翔真さんは「なんでもないよ」と小さく笑った。
 解き方を教えてもらいながらなんとかネクタイをはずし、料理を再開する。
 キッチンカウンターを見渡した翔真さんが、そこに置かれたカレールーの箱に目を止めた。
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