両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 今すってもらっているリンゴがカレーの隠し味のためだと気付いたんだろう。納得したような口調で「あぁ。今日はカレーなんだ」とつぶやいた。
「あ。そうなんです! 悠希がどうしてもカレーが食べたいってわがままを言うので仕方なく……」
「仕方なくってなんだよ。彩菜は冷たいなぁ」
 私の言葉を聞いて、悠希が不満そうな顔をする。けれど私は悠希からの視線を無視して翔真さんに頭を下げた。
「すみません。昨日もカレーだったのに、二日連続なんて飽きちゃいますよね」
「そんな気を使わなくて大丈夫だよ」
「でも……」
「昨日は野菜をたくさん煮込んでスパイスを使った無水カレーで、今日は家庭的なルーのカレーだろ。味が全く違うし、彩菜が夕食を作ってくれるだけでうれしいんだから、カレーが数日続いたって気にならない」
 優しく言われ、「よかった」と胸をなでおろす。
「ほらな。俺もカレーなら一週間連続でも大丈夫って言っただろ」
 自信満々にそう言った悠希に、思わず顔をしかめた。
「だから、おおざっぱな悠希と翔真さんを一緒にしないで」
 そんなやりとりをしながらカレーを作り、三人で食卓を囲んだ。
「あー、日本のカレーうまぁ……!」
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