両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 うしろめたさと恥ずかしさに視線を泳がせる私を見て、翔真さんが「あぁ」と笑った。昨日、私とした約束を思い出したんだろう。
 あのことね、というように目配せをされ頬が熱くなる。
 翔真さんは「そう。今日は大切な用事があるんだ」とにっこりと笑って悠希を見た。
「ふーん。本当に用事があるんだ。彩菜が俺を泊めたくないから嘘をついてるのかと思った」
「どちらにしろ、連絡もせず勝手におしかけられるのは迷惑だからやめてくれ」
 翔真さんにそう言われた悠希は、「兄貴も彩菜も冷たいな」と顔をしかめる。
「じゃあ、友達の家とかホテルとかてきとうに探す」
「ふらふらしないで、実家に帰ればいいだろ」
「俺が帰国してるって親に知られたら、親戚たちの会合だの知り合いとの飲み会だのに連れ回されるだろ。せっかくの休みなのに面倒くさい」
 うんざりした顔をする悠希を見て、翔真さんが静かに口を開いた。
「父さんたちが悠希を連れて歩くのは、お前がみんなから愛されてるからだろ」
 翔真さんのその言葉に、少しだけ違和感を抱く。
 たしかに、小さなころから悠希は人に好かれるタイプだった。学校でもプライベートでも、悠希はいつもたくさんの人に囲まれていた。
< 77 / 191 >

この作品をシェア

pagetop