魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
服…洋服…

「何を着れば良いの?何が正解?買う?」

これは昨晩の自宅のクローゼットと格闘した私の話。

「えーっ!買うんですか?」

「だって本当に何も無かったのよ」

鈴ちゃんは「うーん」と悩んで、

「買って下さい!お金はチーフはあるんですから!」

いつ私の貯金額話したっけ?
チーフ=お金があるの図はどうかと思うけど休みも自宅から出ないから余裕は確かに…ある。

「友達が東館に居るんでコーディネートして貰って下さい!!」

(また東館か…)

先日の課長の奥さん遭遇を思い出した。
そんな何度もお会いする人でも無い。
鈴ちゃんから貰った名刺は3階でフルール・ド・リスは2階。

「会うわけないか」

鈴ちゃんの名刺を頼りに仕事終わり東館に向かった。


何でこうも…

「お前も東館に用か?」

「まあ…服をちょっと」

偶然もこう何度も重なれば必然で課長とまたもや会う始末。

「課長は何か用?」

「…まあな」

そう言ってネクタイを少し緩めた。

「珍しいなこっちで買い物なんて」

「明日用があるんで店舗紹介して貰ったの」

東館3階は少し若い子向けのショップが軒を並べてる。
一応鈴ちゃんにも“無理”と話しては見たけど「大丈夫」の一点張りで背中を押された。

「用って…予約の時に言ってたやつか」

藤乃屋の予約時に言った「予定がある」が嘘にならずに済んだ。
あの時はそんな物無かったし。

「そうそう。じゃあ私はここで」

3階螺旋階段の前で挨拶をする。

「合コン…」

「な、何で?」

背後から明日の予定を言われ慌てて振り返った。

「何となく。行くのか?」

「行くに決まってるでしょ」

既婚者には羨ましいのか真顔で見つめられて視線を逸らした。

「まだ足りなかったか…」

呟いて私に近づき首筋にチュッと音を立てた。

「なっななに!!」

周りを見るけど従業員の姿は見えず通りすがりのお客さんがチラッと見て通り過ぎる。

「マーキング。明日携帯きちんと見とけよ」

「セクハラじゃ…」

「何とでも言え」

螺旋階段から2階へ降りて行く。
3階から下を覗くと、

「待ち合わせだったんだ」

課長が降りて行くと手を振り近寄った奥さんの姿。
腕を絡ませ仲良さそうに笑ってフルール・ド・リスのショップに入っていく。

「浮気者。これだとただの女好きじゃない」

落とされた首筋の熱が冷めて行く。
倫理観?
相手にそれがない場合どうしたら良い?

「携帯…何が見とけだよ」

ムカつく気持ちを押し殺して紹介されたショップへ急いだ。
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