魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
私を虜にする指先で涙を掬い「泣かすつもりは…」と頬にキスを落とす。

言ってる事と行動が伴ってない。

「入ってみれば分かる」

暗がりの玄関から長い廊下を手を繋がれたままリビングに連れて来られる。

「さすがにまだ見る自信…」

リビングに電気が点きまだ疑ったままの私は恐る恐る辺りを見渡した。

「これで分かってくれた?」

女性の痕跡が一切ない。
少し散らばった書類と脱ぎ捨てられたワイシャツ。

「それでも分かんないじゃない」

廊下に戻り洗面スペースにお風呂を覗くけど、

「何も無い…いやまだまだ」

玄関にまで戻りシューズクロークを開けても…

「何もないだろ?」

リビングの入口で腕を組んで余裕な顔して壁にもたれてる。

「どう言う事?」
「それは俺が聞きたい」
「おかしい…」
「俺はお前の行動が面白い」

浮気現場を探す事はあっても嫁の存在を探すなんて普通はない。

リビングに戻るとカランとテーブルに金属が転がる音がした。

「これイミテーション」

「いみ…イミテーション?」

頭の中はまだパニックな私。

「結婚してるわけないだろ。戸籍いや、じいさんに聞けば一番早い」

大先生が嘘つくはずがない。
ここまで自信持って言うって…

「本当に何もない?」
「見たら分かるだろ?」

まだ信じられない私は彼のシャツを掴むとソファにドンと彼を倒してしまった。

馬乗りの私に

「良い眺めだな。でも俺的には組み敷く方が良い」

そう言ってリビングのラグに私を押し倒した。
< 15 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop