鏡と前世と夜桜の恋
-- 数年後
空はどこまでも青くまるで水を張ったように透き通り、川沿いの道を歩くと涼しい風がすっと頬をなでる。

木々の葉は青々と茂り、風に揺れるたび陽の光を反射してきらめいた6月中句頃…
時の流れは進み月日が経ち、蓮稀18歳、咲夜15歳、雪美13歳になっていた。
「るんるーん♪」
みたらし団子片手に頬張りながらご機嫌の雪美。
今日は咲夜と川下りの約束をしていて、待ち合わせ場所に向かう途中、遠くに蓮稀の姿を見つけた。
蓮稀には二度と近付くなと言われたけど… " 声は掛けるくらいなら良いでしょ?" それが雪美の考えだった。
「蓮稀ー!」
手を振りながら声を張ると蓮稀は少し驚き戸惑ったように振り返り、すぐに手を振り返してくれた。
「どこか行くのか?」
「さくを待ってるの!」
「… 咲夜か、もうすぐ来るだろう」
目が合い顔が赤くなり下を向く雪美。蓮稀は少し寂しそうに微笑み、それだけ言って静かにその場を後にした。
去っていく背中を見つめながら雪美は小さく笑った。蓮稀の背中はいつも少し遠くて… だけどどこか優しい。
「ゆきー!」
声の方を振り向けば、咲夜が息を弾ませながらこちらに向かって来た。
「さく!!」
「待たせたな、行こう!」
2人は並び笑い合い色んな話しをしながら川へと向かう…

川下りは風が気持ちよくて、2人の笑い声が水面に響きあっという間に時間が過ぎ、帰り道は咲夜が家の前まで送ってくれた。
「さくとの川下り、楽しかったなー!」
そう言いながら家に入ろうとした時、背後から聞き覚えのある優しい声に呼ばれ…
「雪美」
振り返ると蓮稀が立っていた。