甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

彼女をいやらしい目つきで撫でる視線に、気がついて、はらわたが煮えかえる思いを我慢して耐え、心中で、そのいやらしい目つきで見るなと何度も叫んだ。

その帰り、練り直した企画で、その場で契約まで持っていけなかったことを落ち込んでいる彼女を励まそうと、コンビニに立ち寄り、彼女の好きなピーチティーを購入して渡した。

肌寒いからと、温かい方を買ってきたが、熱すぎたらしく彼女は舌を火傷したと騒ぎだす。

こうゆう時の彼女は、警戒が緩むのか自我がでて、口調も砕けるのだが、気づいていないのだろう。

兎に角、その時、無意識に舌を出して誘惑してきた。

密室で男と2人、そんな姿を見せられて、男は欲情すると思わないのだ。

あの若林という男と今後も2人きりで会う機会もあるというのに、そんな無防備で心配でならない。

脅し、戒めるつもりで顔を近づけたのだが、つい、我慢が効かずキスをしてしまった。

それも、舌先で触れてしまった。

念願の彼女の唇は、柔らかく、触れた舌先は、ピーチの味がして、甘いキスだった。

すぐに、我に返って離れたが、もう限界だと悟ってしまった。

社長であり、尊敬する先輩、和希さんなら、この俺の悩みを解決してくれるかもと、飲みに誘ったが、揶揄われるだけだった。
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