甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「キスしてきたのは、高山チーフですよ。今のいい方だと、まるで私からしたみたいじゃないですか⁈それに食べたいってなんですか?」

「そのままの意味だ。隣で美味そうな唇が誘ってるんだ。食べたくなるだろ」

「はぁ⁈誘ってるって、欲求不満なんですか?そこら辺に立ってたら声かかりますよ。楽しい週末をお過ごしください」

「あぁ…いい加減、欲求不満でおかしくなりそうだよ。もう、その唇を味わったら止められない。他なんていらないんだよ。なんでキスしたか気づけ」

俺がキスしたいと思うのも
抱きたいと思うのも
愛しいと思うのも
この鈍い彼女には伝わらない。

彼女の腰を抱きしめ、大勢の目の前でキスをした。

それぐらいしないと、俺の本気は伝わらない気がした。

きゃーと響く声の野次馬が集まっていく。

キスを解くと、顔をあげれない彼女を胸に抱きしめて、頭部にキスして愛しい気持ちを表現する。

愛してるという言葉をかけたら、今の彼女は、きっと逃げてしまう。

キスを拒みきれない彼女に、嫌われていないはずだが…

「お騒がせしてすみません。仲直りできました」

人垣が消えて、俺たちを壁のように扱う人々が行き交う。

「な、何がしたいんです?」

「キス以上の事、わからないほど子供じゃないよな」
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