甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
それを見ていた彼女は、声にならない驚き顔になるので、微笑む。
「ちっとも仕置きになってないな。そんな蕩け顔で誘われたんだ。応えてやるよ」
無理無理と涙目で顔を左右に振る彼女。
可哀想だが、嫌いって言ったことを後悔すればいい。
「安心しろ。優しく抱いてやる」
狭いソファの上で、宣言通り優しく抱いた。
だが、あんな体制では、彼女には酷だっただろう。
俺の胸の上に上体をのせて、体は動かなくても、喋る元気はあるらしい。
「もう、動けません。疲労申請していいですか?」
「理由は?」
「高山チーフに、抱き潰されて疲労困憊で、筋肉疲労の回復が見込めるまでお休みください」
「わかった。明日は疲労回復に努めて、月曜には出社しろよ」
「鬼ですか?へっぴり腰で仕事へ行けと⁈みんなの想像を掻き立てる情報、提供したくないんですけど」
「あはは、誰とやりまくったのか想像するな。なら、一緒に休むか?腰が治るまで世話してやるぞ」
「バカですか?そんなの余計な想像を提供してるじゃないですか。昨日は、朱音さんや社長と一緒にいたんですよ」
「あー、あの人にしばかれるな」
少しは気を許し始めたくたげた口調で、ポンポンと出てくる言葉の掛け合いを楽しんでいた。