青い鳥はつぶやかない 堅物地味子の私がベリが丘タウンで御曹司に拾われました
「信じられない?」

 蒼馬は背後から語りかけた。

 返事はない。

 幾重もの糸で編まれた固い繭に閉じこもったように、体を丸めたまま交差させた腕で脚を抱えて硬直している。

 振り向いてくれ。

 俺のこの気持ちを罪だというのなら、喜んで罰を受け入れるよ。

 史香……。

 密着した体にぬくもりを感じる。

 髪に顔を押しつけ、鼻先でうなじを愛撫し、震える指先を肩から背中、腰、脚へと滑らせていくと、ピクリと耳が反応した。

 蒼馬は軽く唇ではさみ、舌先で刺激した。

 鍵のかかった体がリボンがほどけるようにほぐれ出す。

 耳の裏に吐息をかけると女の体が反り、指がかかっていたホックが勝手に弾け飛ぶ。

 理性と欲望の波に翻弄された蒼馬はベッドの上に体を起こすと、女の肩に手をかけてのしかかった。

 隠そうとする女の手をつかみ、指を絡ませ合うと、蒼馬は露わになった胸にまっすぐ飛び込んだ。

 容赦なく口づけを浴びせ、へそから腰へと唇を這わせ、ゆっくりと静かにじらしながら残り一枚となった下着の縁へと移動していく。

 薄い布に隠された部分を舌先でめくりあげると、指を小枝のように折られそうな勢いで史香の手に力がこもり、女の香りが匂い立つ。

 蒼馬は布越しに唇を押し当てた。

「……んっ」

 蒼馬の頭上で吐息混じりの声が漏れた。

 愛が、あふれだす。

 隠そうと史香が手を離した瞬間、蒼馬は最後の一枚を剥ぎ取り、間髪を入れず食らいついた。

 その刹那、史香の体は絶妙な火加減で仕上げられたエッグベネディクトと化していた。

 男の舌先で切り開かれた熱い裂け目からとろりと濃厚な黄身がとろけ出る。

 蒼馬は行儀悪く音を立てながらそれをすすり上げた。

「あっ……んっ」

 女から漏れ出る声にむち打たれながら蒼馬は愛情を注ぎ続ける。

 史香の手が男の頭を抱え、髪を握りしめる。

 二人のリズムが重なり合い、大きなうねりとなってお互いの理性を押し流していく。

 あふれ続ける愛の歓喜に酔いしれ、顔を上げると、蒼馬は腰から胸へと舌先を這わせながら史香にのしかかった。

 もう我慢などできるはずもなかった。

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