音楽を捨てた天才少女は光を奏でる
また場面が変わる

これはお葬式が終わったあとお父さんを呼びに行ったときだ

皆の前では涙を見せなかったお父さんが泣いている
私は泣くとちょっと心が軽くなるからお父さんが泣いているのを邪魔したくないと思ってドアの影に隠れていたんだ

そしたら

「っ、ぅぅう"っなんで、なんで死んでしまったんだ
俺が奏音に迎えに俺が行けば死なずにすんだのかっ!」

それは決して私を責める言葉ではなかった

でも幼いながら分かってしまったんだ

ーーーーお母さんが死んだのは私のせいだって

けど、そんなこと受け止められなかった

だから私の中でいちばん大切なものと引き換えに自分の罪を少し忘れたんだ

それが音楽だった

それから私はピアノもヴァイオリンも歌も今まで習っていた音楽系の習い事を全部やめた

お父さんには
いつもお母さんに聞いてもらっていた音楽をすると泣きそうになるから
って本当と嘘を半分ずつまぜた言葉を言って

お父さんは私に何も言わず分かったとだけ言ってくれて、それにどれだけ救われたかは分からない
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