宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
急に泣き出した私を見て、宝さんは明らかに慌て出す。
「どうした!?どこか痛いのか?」
「ちがいます……」
「じゃあ、どうして」
「……もうっ、いわせないでくださいよっ」
真っ赤になった鼻を見られたくなくて背中を向け、スーツの裾で涙を拭っていたら宝さんが自分の服の袖を当ててきた。
「すまない、ハンカチがなくて……」
申し訳なさそうにしながら袖で涙を拭ってくれる。
不器用ながらいつも私のことを考えてくれる。
私のことを見ていてくれる。
真っ直ぐで優しいあなたのことが――
「……すき」
「…………え、」
あ……っ!!
私は思わず両手で自分の口を押さえた。
「結瑠、」
「すみません!仕事に戻ります!」
逃げるように速歩きでその場から立ち去った。
そのままトイレの個室に入り、はーーーーっと深い溜息をつく。
「〜〜……っっ、どうしよう……」
まさか思わず出てしまうとは思わなかった。
宝さんの真っ直ぐさが移ったのかもしれない。
でも、そうなのか。
口に出してみて改めて認識した。
私は宝さんのことが好きなんだ。
人としてだけでなく、異性として。
恋愛的な意味での好き。