宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
それでも私のために頑張って作ろうとしてくれた気持ちが嬉しかった。
「初めてにしては上出来ですよ」
「そうかな」
「はい、十分です」
ジュエリーデザイナーなんて手先が器用なのかと思っていたら、意外にも不器用な一面もある。
結婚はともかく、人として好ましく思っているのは事実だった。
なんか私、宝さんのペースに乗せられてばかりだな。そう思いつつ出かける準備をした。
* * *
「どこに行くんですか?」
宝さんが運転する車の助手席に乗って尋ねる。
私が乗る前からエンジンをかけて暖房を入れてくれていたおかげで、車内は暖かった。
「結瑠はどこに行きたい?」
「は?」
自分から誘ったくせに私に聞くの?
デートって言うからエスコートしてくれるのかと思ったのに。
そんな私の不満の色を察したのか、宝さんは慌てて否定した。
「いや、そういうことじゃなくて、結瑠の好きなものが知りたいと思って」
「私の?」
「結瑠が言っていただろ?お互いのことを何も知らないって。確かに結瑠が好きなものとか趣味とか、何も知らないから知りたいと思ったんだ」
意外な返答に驚いて何度も瞬きした。
どこまでも我が道を突き進むだけの人かと思ったら、私のこと考えようとしてくれていたんだ。
「だから教えてくれないか?結瑠のこと」