宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


「宝さん、ちょっと来てください」


 私は宝さんの着ている高そうなブルーのコートを引っ張り、キッチンカーから少し離れたところへ連れて行く。


「なんでわざわざ呼びつけて貸し切りなんですか?」

「なんでって、食べたいんだろう?」

「食べたいけど、別に来ていればでよかったんです。たまたまあったらラッキーくらいで十分だったのに、こんなことしなくても」

「不満か?」

「不満っていうか……」


 なんて言えばいいのだろう。不満なわけではないけど、ここまでして欲しいとは思っていないので困る。


「お店の方にも都合があるのに、いきなり呼びつけられたら困りますよ。それに行列ができる程のワッフルなんですから、食べたい人だって多いのに」

「だから結瑠が食べられなくなると思って」

「私のこと考えてくれたのならありがとうございます。でもこういうのはこれっきりにしてくださいね」


 キッチンカーのワッフルでこれなら、レストランで食事をするのも貸し切りにしかねない。


「難しいな」


 宝さんはポツリと呟いた。


「ただ結瑠に喜んでもらいたかっただけなんだが」

「〜〜っ」


 だから、こういうところがずるいんだよなぁと思う。文句が言いづらいというか、許したくなってしまうというか。
 お金の使い方がまるで違うだけで、彼にとっては単なる厚意なのだ。


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