私が一番近かったのに…
だけど、私はあまりの恥ずかしさに耐えられず、素直にお願いすることができなかった。
こんなこと女の私からお願いしても、愁は引いたりしないかと考えすぎてしまい、結局言えずじまいに終わった…。
ひたすら愁は、私に優しくしてくれた。彼女と会う暇もないくらい、私の所に会いに来てくれた。
必ず家に泊まってくれたが、ただ同じベッドに一緒に眠るだけ。
最初はそれだけで嬉しかったはずなのに、今では物足りなく感じていた。
愁は先輩とのこともあり、気を遣ってくれているというのに。
これじゃ、ただの我儘だ。こんなに優しくしてもらえて、何が不満なの?
いつの間にか、自分でも気づかないうちに、こんなにも欲張りになっていた。
自分でも、愁に甘えすぎてしまっていると思う。いくら優しい愁でも、これ以上求め過ぎてしまえば、困らせてしまうことになる。
困らせたいわけじゃないのに、胸の中でモヤモヤする気持ちが、ジワジワと広がっていた。


            ◇


「幸奈、元気か?」

相変わらず私を心配して、合間を縫って愁が会いに来てくれた。

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

もうそろそろ、お休みも終わりを迎えようとしていた。
この間、店長から、

『大平さん、〇日の✕時に出られそう?』

…と電話がかかってきた。
指定された日は、有給も消化されており、完全に先輩が辞めている時期。
もちろん、私が休んでいる原因が取り除かれているので、答えは一つだった。

『大丈夫ですよ。是非、お願いします』

久しぶりの出勤に緊張する…。先輩はいないが、ちゃんと今まで通りにお仕事できるかな?忘れてないかな?という、不安や焦りがあるので、緊張せずにはいられなかった。
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