私が一番近かったのに…
『それじゃ、〇月✕日によろしくお願いします。こちらの不注意で、ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした』

店長は何も悪くない。全ては先輩の自業自得。
寧ろ私は先輩をクビにしてくれたことに、感謝しているくらいだ。

『気にしないでください。店長にはこの件でとてもよくして頂いたので、感謝しています。これからも引き続き、よろしくお願いします』

私の素直な気持ちをそのまま伝えた。この先も働きやすくするためもあるが、店長にこれ以上、責任を感じてほしくなかった。

『そう言ってくれてありがとね。大平さんまで辞められたら…と思って。辞めないでくれてありがとう。
それじゃ、当日来るのを待ってるね。それでは失礼致します』

ここで話は終わった。私もそろそろ復帰か…。早いようで短いお休み期間だったなと、しみじみしていた。
毎日欠かさず来てくれた愁の優しさ。それに甘えている自分の未熟さ。
痛いほど痛感した。こんな状況でも愁に欲情している、浅はかな自分が嫌いだ。
もうすぐこの時間も終わるのかと思うと、焦っていた。
このまま時が過ぎれば、もう二度と愁に抱かれないのではないかと。
何を焦っているのだろうか。抱かれることだけが、女性としての魅力ではない。大事なのは中身だ。

彼女じゃないのに、こんなに優しくされて何が不満なのだろうか。
女性として必要とされていないから?それとも、優しくされることが辛いから?
本当は優しくされるのも嬉しいし、女性としても必要とされたい。
でも、愁の好きと私の好きは種類が違う。この差をずっと埋められないのが辛い。
埋めたくて、何度も諦めずに手を伸ばした。
その度に、何度もその手を掴んではもらえなかった。
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