私が一番近かったのに…
愁の怒鳴る声が、道路中に響き渡る。
私はこの場に居ていいのだろうか。今すぐにでも逃げ出したくなった。

「だって、そうでもしないと、愁くん会ってくれないじゃん。連絡しても無視するし。もしかして、私に飽きた?他に女ができたんでしょ?だって、私が避妊をちゃんとしないのが嫌だって拒否したから……」

もし、本当にそれで飽きてしまったのなら、愁の方が最低だ。女の敵だ。

「そんな理由で飽きたんだとしたら、俺は相当、悪い男ってことになる。確かにお前とのエッチには飽きた。やってて楽しくない」

はっきりと伝えた。彼女のことを思うなら、そこまではっきりとは言わずに、言葉を選ぶべきだったと思う。

「酷い!最低……っ、」

平手打ちをされた。パンッ!と乾いた音が大きく響き渡った。

「マグロなんだよ。だから、やっててもつまんねーんだよ」

更に追い打ちをかける。彼女の目からは涙が滝のように零れ落ちた。

「もういい!さよなら……っ」

彼女は走り去った。かなり速かった。まだ高校生の彼女は、体育の授業があるからあんなに早く走れるのかと、感心している自分がいた。

「愁、余計なお世話かもしれないけど、あれは言い過ぎだよ。
いいの?追いかけなくて。追いかけて来てほしいんだと思うよ」

「もういいんだ。あれは紛れもない本音だから。それにもう追いかける必要なんてない」

きっと愁は、終わらせ方が分からなかったから、こんな終わらせ方で、終わらせてしまったのだと思う。

「分かった。今は追いかけなくていいよ。とりあえず、私の家で詳しい話は聞かせてもらうから。覚悟しておいてね」
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