私が一番近かったのに…
真っ先に私の元へと駆けつけてくれることが、さも当然かのような言い方が、とても嬉しかった。

「本当?それじゃ、終わるまでバックヤードで待っててもいいかな?」

「いいよ。俺も幸奈が待っててくれると嬉しい。そしたら、一緒に帰れるから」

ずっとあなたの隣を歩いて来た。明日はどんな日になるのかな。
今はただ、最後にならないことを願うのみだ。

「分かった。終わるまで待ってるね」

潤んだ瞳で、愁を見つめる。女性として意識して欲しいがために、自然と身体が動いてしまう。

「そういう目で見つめられると、もう我慢できない。ただでさえ俺、幸奈と一緒に居るだけでも限界なのに…。したい。してもいい?」

ずっと我慢していたのであろう。私もずっとしたいと思っていた。身体が待ち望んでいたかのように、熱を帯び始めている。

「私もしたいから、しよ?」

今の私は積極的だ。きっと告白すると決めたから、気持ちが前向きになっているのかもしれない。
先程までネガティブだった自分が嘘みたいだ。雲が晴れたかのように、清々しい気持ちだ。

「幸奈、目がトロンとしてて可愛い。俺はその目が好き」

自分ではどんな目をしているのかなんて分からない。
どうやら愁の目には、そんなふうに映っているみたいだ。

「トロンとした目ってどんな目なの?」

「妖艶な感じかな」

逆に愁は今、ギラギラした狼のような目をしている。
しかも、色気が三割増しだ。そんな目で見つめられてしまえば、私は逆らえなくなってしまう。
もしかして、これがトロンとした目ってことなのかな?

「そうなの?それなら、私も愁の目が好きだよ」
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