私が一番近かったのに…
「私だって初めてだよ、こんな気持ち。ねえ。もっとくっついてもいい?」

やっぱり我慢なんてできない。もっとあなたの傍であなたの体温を感じていたい。

「いいよ。でもその前に、お風呂に入ろうよ。一緒に」

小さく頷いた。このドキドキ感をまだ味わっていたかったから。

「言っておくが、今日は俺、幸奈に何もしないからな?…って、逆に怪しく聞こえるかもしれないけど」

私はどちらでも構わなかった。多くは望まない。こうして、あなたと一緒に過ごせるだけで幸せだから。

「たまにはこういうのも悪くないだろう?さっきまでがっついてた奴に言われても、説得力なんてないかもしれないけど。あー、もうダメだ。緊張しすぎて、落ち着かない」

それは私も同じ気持ちだ。いつもと違う環境に、なんだか落ち着かない。
もしかして、これは二人の間に新たな感情が生まれ始めたのかもしれない。

「私も。なんだか落ち着かないや。いつもの私達らしくないね」

キス以上のことを知ってしまった今、どこかキスを軽いものに捉えていた。今まで知らなかった自分が恥ずかしい。
まだ間に合うのなら、キスってこんなにいいものなんだよと、過去の自分に教えてあげたい。

「まだ慣れないな…」

とてもむず痒がった。この甘い雰囲気に、まだ慣れそうにはなかった。
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