私が一番近かったのに…
「ありがとう、幸奈。俺の身体を洗ってくれて」

「いえいえ。それはこちらの方こそです」

「俺、幸奈の手の温度や感触が好きだ。その人の手つきとかで、なんとなく人となりが分かるような気がする。
幸奈は優しさで満ち溢れている人だってことが、手の温度で分かった」

お互いに同じことを感じていたみたいだ。それがとても嬉しかった。
相性が合うとはこのことなのかもしれない。それは身体の相性だけではなく、性格も合っているのではないかと思っている。

「私って優しいのかな?優しいのは愁の方だと思うよ」

「いやいや、幸奈の方が優しいだろう。気配りもできて、人が落ち込んでいる時とか傷ついている時に、そっと優しく手を差し伸べることができる。それって、なかなかできないことだと思う」

それは愁も同じだ。言いたくないことを、その人のためを思って言えるのは、本当の優しさだと思う。

「私はそんなに器用な人間じゃないよ。昔から人の顔色を窺うことしかできないから。
でも、愁は自然と気配りができて、人が集まってくるから、羨ましいなって思う」

似た者同士なのかもしれないが、もちろん違う人間なので、似てない部分もたくさんある。
私達はお互いを尊敬し合っていて、その上でお互いにないものを補えることができる関係だと、私は思っている。
< 238 / 346 >

この作品をシェア

pagetop