私が一番近かったのに…
それでも、この曖昧な関係を続けているのは、覚悟が足りないから。
この関係が壊れることが怖くて、なかなか前へ進めない。
きっとその先に進んだとしても、今とあまり変わらないまま、恋人になるんだと思う。
もし、愁と恋人になれたら、もっと堂々と手を繋いで歩くことができるようになり、私の心模様も少しはポジティブに変われるかもしれない。
もうこんな想いは二度としたくないから、私は前へ進むと決めた。

「俺だって、そこまで大それた人間じゃない。幸奈と同じだよ。誰しもそうだと思う。人の顔色を窺わない人間なんていない」

言われてみれば、確かにそうかもしれない。
ということは、愁も私の顔色を窺う時があるということだろうか。
だとしたら、少なからず私のことを意識してくれているということになる。
意識してくれているのだと思うと、今、どんな想いで私の身体を洗っているのか知りたくなった。
もちろん野暮な話なので、今回は聞かないでおくが…。
明日、告白すれば、今まで私をどう想ってきたのか分かる。このお楽しみは、明日までに取っておくことにした。

「誰しも…か。それじゃ愁、私が今、どんな気持ちなのか当ててみて?」

愁を試してみた。私は思いの外、この状況を楽しんでいるみたいだ。
はしゃすぎているのが、自分でも手に取るように分かる。

「んー、そうだな。幸奈は今、楽しそうだ。俺と今、こうしているからかな?」

「そうかもしれないね」
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