私が一番近かったのに…
「そっか。それならよかった。さてと、そろそろ上がりますか。充分、温まったし」

少し長く浸かりすぎてしまったみたいで、身体が熱い。
それからすぐに着替えて、ベッドへ直行した。もちろん、一つのベッドで一緒に眠る。

「失礼します…」

先に布団に入った愁の横に失礼する。私が横になる前に、愁の腕が下に敷かれ、私はその上に頭を乗せる。自然と距離が近くなった。

「幸奈を抱き枕にしてやる」

お互いの心臓の音が聞こえる。愁も緊張していることが伝わってきた。

「腕、大丈夫?疲れない?」

緊張しているせいか、空回りしてしまう。
そんなことを言われたら、逆に愁が気を使ってしまうというのに…。

「大丈夫だ。この方が落ち着く」

疲れているせいか、ここ最近の愁は甘えてくることが多い。きっと癒されたいのかもしれない。
もし、私と一緒に居ることで癒されるのであれば、私が愁を癒してあげたい。

「それならよかった。私もこの方が落ち着く」

愁の心臓の音を聞いていると、何故か落ち着く。愁が傍にいると実感できることで、落ち着くのかもしれない。

「話を聞いてくれてありがとう。幸奈のお陰で心が救われた」

ずっと抱えていた胸の奥にある想い。一度、全てを吐き出したことにより、愁の中で何かが大きく変わり始めたのかもしれない。
私の中でも大きく変わり始めた。決めたんだ。今度こそ言うんだって。
もし、ダメだったら、潔く身を引き、普通のお友達に戻れるように、今は前を向いていたい。

「ううん、こちらこそ話してくれてありがとう。また何かあったら、頼ってくれると嬉しいな」

なんて気前のいいことを言ってはみたが、自信なんてない。本当はまだ不安だ。
このまま愁が、私の傍を離れていってしまうという不安も、心の奥底に眠っている。

「そうさせてほしい。今回のことで改めて気づかされたんだ。俺には幸奈がいないとダメなんだって」

きっと深い意味なんてない。友達として、私がいないとダメなんだと思う。
だから、期待なんてしない。期待なんて…。
ダメだ。もう手遅れだ。私、完全に期待してしまっている。
今すぐにでも好きだって想いが、溢れ出してしまいそうになる。
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