私が一番近かったのに…
「本当に?私も愁がいないとだめだよ」

これじゃ、好きだって気持ちをバラしているようなものだ。
でももう気持ちを抑えきれなかった。好きな人にこんなふうに言われてしまったら無理だ。

「うん。本当。俺にとって幸奈は、必要な存在だよ」

私はとっくに愁が必要な存在だ。
ねぇ、愁。期待してもいいの?そう勘違いしてしまいそうになった。

「ありがとう、そう言ってくれて。これからも私でよければ、いつでも頼ってね」

「おう。これからもそうさせてもらうわ」

好きな人に頼ってもらえるのは嬉しい。
私の中に独占欲が生まれた。もう彼女には渡したくないと。

「なぁ、幸奈ってさ、」

急にどうしたのだろうか。ずっと真面目な話をしていたので、つい身構えてしまう。
これからどんなことを聞かれるのだろうかと…。

「本当に一人でしたことないの?」

え?どうして、そういう話の流れになるの?!
今までの空気が台無しである。全くもう愁ってば…。

「急にどうしたの?ないけど」

「マジで?!女の子ってしないもんなんだな」

何故、そういう話の流れになったのだろうか。愁の意図が読めなかった。

「ごめん。野暮なこと聞いちゃって…」

「全然、大丈夫だよ」

「明日、お弁当よろしくな。楽しみにしてる」

都合が悪くなった途端、話題を無理矢理、変えてきた。
真面目な話をしたかと思いきや、唐突の猥談…。
愁らしいなと思った。そんなところが改めて好きだと思い知らされた。

「うん。楽しみにしてて。明日、お弁当ちゃんと届けるので」

「あぁ。よろしく。それじゃ、おやすみ」

「おやすみ」

疲れていたせいか、愁はすぐに眠りについてしまった。
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