私が一番近かったのに…
好きな人のお願いを断れるはずがなかった。

「仕方ないな。いいよ」

「幸奈、一日中繋がっていような」

手を繋いでくれた。なので、私もそっと握り返した。
一瞬だけ恋人気分を味わえたのが嬉しかった。

「うん。ずっと繋がってたい」

あなたの熱をずっと感じていたい。
あなたの心を掴めなくてもいいから、せめて身体で繋ぎ止めておきたい。

「幸奈…」

そっと愁の手が、私の髪に触れてきた。
そのまま流れるように事は進んでいき、その日は狂ったように求め合った。
お互いにバイトが休みの日でよかったな…なんてことを思いながら、求め合い過ぎてしまい、疲れ果ててそのまま再び眠りに落ちた。
< 49 / 127 >

この作品をシェア

pagetop