天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
福岡は予想通りの荒天だったが、副操縦士は落ち着いて対処し、時間通りの着陸を実現した。羽田への復路は俺が担当し、こちらのフライトも問題なく終えた。
機体が駐機スポットへと到着し静かになったコックピットで、俺はフライトの記録を書類に記入する。その横で、副操縦士が深々と頭を下げた。
「ありがとうございました。今回露木キャプテンとご一緒できて、とても勉強になりました」
「それならよかった。今後も、難しい場面から逃げようとするなよ。どんなフライトも、必ずきみの糧になる」
「はい……! あの」
書類の記入が済み席を立とうとしたら、副操縦士に呼び止められる。
視線で続きを促すと、彼は言いにくそうに視線を泳がせてから、俺を見つめた。
「今まで、露木さんのことを誤解していてすみませんでした」
「誤解?」
「その……露木さんはブルーバードの社内養成出身じゃないのに、香椎さんのお嬢さんと結婚したことで贔屓されてる、なんて文句を言ってる奴らがいて……」