天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

 軽い休憩を取った後、すぐ次の便に向けての準備をする。

 ノアは先にオフィスに到着しており、確認作業を進めていた。

 軽く挨拶を交わし、これまでの便と同じように、運航管理者からのアドバイスを受けつつブリーフィングを実施する。

「今の大阪上空は季節外れの南風。サークリングアプローチの可能性を考えておいた方がよさそうね」

 ノアがパソコンの画面を指さし、円を描くように飛行機の軌道を示す。

 通常は向かい風を受けながら滑走路に着陸するのが基本だが、地理的な要因でその方向からアプローチできない場合、一度反対側に回り込んで着陸しなければならない。その手法がサークリングアプローチだ。

 言葉で説明するのは簡単だが、それなりの技術を必要とする。

「同意見だ。俺がやろうか?」
「大丈夫、私がやるわ。もちろん、露木キャプテンが任せてくださればの話ですけど」

 仕事中は私情を挟まないとノアも線引きしているようだ。

 俺も、フラットな目線で彼女の技量を判断しなくてはいけないだろう。入社前に外資系のLCCでパイロットをしていた経験がある彼女は、福岡便をともにした副操縦士よりは頼もしい印象である。

 今日までに他の機長たちにも少し話を聞いてみたところ、危なげないオペレーションをする副操縦士だと、評判は上々だった。

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