天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

「へえ……」
「みんな忙しくてこうやって集まれるのも貴重だから、紗弓も聞きたいことがあったら聞いておいたら? 露木さんのことも、きっと教えてくれるわよ」

 母は深く考えていないだろうが、ちょうど露木さんについて情報が欲しいところだったのでドキッとした。

「そ、そうだよね。せっかくだし……」

 とはいえ、なにを聞いたらいいだろう。ジッと考え込んでいると、空に近かった私のグラスに真路さんがビールを注いでくれる。

「あっ、ありがとうございます」
「どういたしまして。露木とはどう? 紗弓さんのいるラウンジも勤務時間がバラバラだから、お互いすれ違いが多いよね」
「そうですね……でも、今のところはうまくやっていると思います」

 お互いの内心はともかく、表面上はとりあえず一般的な新婚生活に似た時間を過ごせていると思う。

 この場には両親もいるので、深い部分までは語れないけれど。

「そっか。これからも、一緒にいる時間を大事にすれば大丈夫。それと、悩みはひとりで抱え込まないこと。露木がたぶんそういうタイプだから、紗弓さんからアイツの心をこじ開けるくらいでちょうどいいと思うよ」

 真路さんからの意外なアドバイスに、目を瞬かせる。

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