天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「私からこじ開ける……?」
「同感だ。露木くんは優秀だが、なんでもひとりで背負いこみすぎる。紗弓の前では、その荷物を下ろせるといいんだがな」
父もしみじみとした口調でそう言った。
パイロットとして一緒に働くふたりが言うのなら、本当にそうなのだろう。
露木さんが抱えているもの、私でよければ半分でもそれ以上でも預けてほしいな……。
「頑張って、紗弓ちゃん。バツイチの私が言うのもなんだけど、夫婦ってとってもいいものよ。末永く幸せでいるためには、歩み寄りと努力が大切。覚えておいて」
杏里さんがそう言って、茶目っ気たっぷりにウインクする。
「そうね。私がお父さんの眉間の皺ひとつで機嫌を計れるようになったのもつい最近だもの。やっぱり、お互い言葉でちゃんと話すことが大切よ」
「……知らない間に機嫌を計られていたとは」
父が思わずと言った感じに眉間の皺を撫でる。
私の目にはずっと仲良しに見えている両親も、グラハンの奥様を大切にしている真路さんも、一度離婚を経験した杏里さんも……みんな、結婚生活で大切にしてきたものは同じ。
なんだか、とてつもなく大きなヒントをもらった気分だ。