天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
実家では料理上手な母の隣でよく手伝いをしたので、自然とコツみたいなものは身についている。
今夜のメニューは、大葉入りの甘辛つくね、ヒジキと大豆の煮もの、ほうれん草を入れただし巻き卵、根菜たっぷりのお味噌汁、それに白いご飯。
最後に完成させただし巻き卵を切っているところで、嵐さんが帰宅した。
「ただいま」
「おかえりなさい。ちょうどご飯ができたところです」
室内に入ってきた嵐さんは、アイランドキッチンに立つ私を見つめて微笑む。
「廊下にもいい匂いが漂ってた。紗弓も仕事だったのに悪いな」
「いえ、好きで作りましたから」
「ありがとう。お返しに、というわけじゃないが、食後のデザートがある」
昇さんが、小さな紙袋を掲げた。
「ミチシゲ……ドー?」
紙袋に印刷されている【MICHISHIGEDO】ロゴを見つめ、呟く。アルファベットだからすぐにはピンとこなかったが、あの道重堂だ。
「そう。ニューヨーク店で限定の和菓子を販売してるのを知ってたから、紗弓にプレゼントしたいなと思って」
「ありがとうございます……!」
紙袋を受け取ると、思わず顔がほころぶ。
最近道重堂の和菓子を買いそびれてばかりだったし、海外店舗だけで展開している限定商品は通販では購入できず、手に入れるのをあきらめていたのだ。