病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
「コレットお姉様はどう?どんな方がタイプなのかしら」
「わからないわ」
「ああ、そうだわ!気になる令息はいるの?」
「…………いいえ」
「……チッ」
コレットがリリアーヌを見ることなく返事を返す。
小さな舌打ちは聞こえないフリをした。
コレットに選択肢などありはしない。王子様を夢見ることなど許されていないのだ。
それをわかって言っているのかいないのか。
リリアーヌの質問はいつも現実から離れてフワフワしている。
「もしかしてコレットお姉様の気に触ってしまったかしら!」
「…………」
「リリアーヌお嬢様が気にすることではありません!」
「折角、リリアーヌお嬢様が地味で暗いあなたを毎日毎日気遣って誘っているのに……なんて態度なの!」
「コレットお姉様を悪く言わないで!きっとわたしが悪かったのよ。ねぇ、コレットお姉様?」
コレットはいつものようにリリアーヌの歪む桃色の唇を見つめながら、冷めた視線を送っていた。
最近では侍女を巻き込んでこうしてコレットを責めている。
(いつもと同じ。もう飽きたわ)
いつもと同じだ。コレットの遠回しの悪口を聞き流した後に持っていた本をパタリと閉じた。
「……そろそろ失礼するわ」
「もう行ってしまうの?」
「今からお父様に資料をまとめておくように頼まれているから」
そう言うとリリアーヌはわざとらしく肩を跳ねさせた。
「コレットお姉様が羨ましいわ」