病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
ポツリと呟いた言葉が耳に届く。
リリアーヌはいつもと同じセリフを口にする。
しかしコレットにはわかっていた。
(本当は羨ましいなんて思っていないんでしょう?)
リリアーヌは今日も嘘を吐く。
潤んだ瞳でこちらを見るリリアーヌを侍女たちが庇い、コレットを睨みつけた。
コレットは何事もなかったように椅子から立ち上がり、リリアーヌに背を向ける。
侍女たちはコレットの態度が気に入らないのかこちらに聞こえるように悪口を言っている。
ミリアクト伯爵邸でコレットの立場は一番下だった。
リリアーヌが関わっているのなら、コレットが何を言おうが関係ない。
この場所で正しいのはリリアーヌで間違っているのがコレットなのだ。
「待ってよ!コレットお姉様……っ」
リリアーヌの声が聞こえたが、コレットは無視して足を進めた。
コレットも馬鹿ではない。
長年、この場所にいて気づいたことはたくさんある。
それにリリアーヌはミリアクト伯爵家の中で、自分に無関心なコレットをどうにかしたいと思っている。
そして自分よりも不幸なコレットをこの狭い屋敷の中に囲って嘲笑っていたいのだ。
しかしコレットにはリリアーヌをお姫様のように扱うことは絶対にない。