病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
そしてヴァンは再び剣を取ると剣先を王妃に向けて唇を歪めた。


「次はお前の番だ」


この台詞はヴァンが幼少期に母親を失った時に王妃に言われた言葉ではないだろうか。


「楽には死なせませんよ?」

「ひっ……いや、ぁッ」

「最後まで苦しんでもらいますから覚悟してくださいね」


王妃の涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を見て更に首に剣先を食い込ませている。
譫言のように「やめて」と繰り返しているが誰も助ける者はいない。
国王すらも一歩も動けないままだ。

サラリと残酷なことを楽しそうに言うヴァンに周囲は言葉を失っている。


「ヴァン、殿……ひ、非礼を詫びよう」

「あなたの詫びなどいりませんよ?」

「な、に?」

「エヴァリルート王国は、今日限りで終わりですから」

「……ッ!」


国王の謝罪を一蹴するヴァンにエヴァリルート国王は血が滲むほどに唇を噛んでいる。


「エヴァリルート国王……あなたにはコチラを」


ヴァンはポケットから金の縁で縁取られた豪華な封筒を震える国王に渡す。
封筒の中から手紙を出して目を滑らせている国王の手は大きく震えていた。
紙はミチミチと音を立てて、怒りからか、はたまた恐怖からなのか目は血走っていく。


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