病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
建国記念パーティーは説明会場のようになりつつあった。
余程いい条件を提示されているのだろうか、それともヴァンのことを恐れてなのか、声を上げて反発する者は誰もいなかった。

これを見るとヴァンが前々からかなり入念な準備を重ねていたことがわかる。
恐らく道端でコレットと出会わなくても、ヴァンはこうするつもりだったのだろうか。
コレットがぼんやりと会場を眺めているとヴァンから声がかかる。


「コレットがいなければ、もっと血生臭いことになっていたと思いますよ?」

「…………!」

「コレットが僕を変えてくれたんです」


そう言って手の甲に優雅に口付けた。
ヴァンにはコレットの気持ちはすべてお見通しのようだ。
コレットの心境は複雑だった。
ヴァンはどんどんと先に進んでしまうような気がして寂しさを感じていた。
正体を隠されるのは二度目だ。
いつも大切なことを教えてくれないヴァンになんだか悔しい気持ちが湧き上がってくる。
コレットは少し仕返しをしてみようと口を開いた。


「どうかしら……わたくしはなんの取り柄もないし、何よりあなたは隠し事ばかりで本当に愛されているのかわからないもの」


少しやり過ぎかと思ったが、チラリとヴァンの様子を見ると今までにないくらいに表情は固くなり青ざめていることに気づく。
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