病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
そんな希望に縋って、コレットはこの場にとどまり続けた。
だけど、そんな日は絶対に訪れない。

(行くのよ……!もうここにわたくしの居場所はないわ)

大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出した。
まるでコレットの意思を尊重するように風がピタリと止んだ。

(さようなら、今まで我慢ばかりしていたわたくし)

コレットは窓から身を乗り出して外に出た。

コレットは荷物を持ってストールで顔を見えないようにしながら走っていく。
除籍すると言っていたし、追いかけてくるとは思っていない。
とにかくあの家から遠く遠く離れた場所へと行きたかった。

コレットは父の代わりに領地の視察に赴き、よく領民たちと話していた。
領民たちは優しく、懸命に働くコレットを応援して協力してくれていた。
そんな思い出が頭を過ぎる。

町の中をぐんぐん進んでコレットだとバレないように早足で進んでいく。

見慣れない荷馬車を見つけて途中まで乗せてもらうことに成功した。
ここから離れられるのなら行き先はどこだってよかった。
領地を離れて行くたびに、恐怖と喜びとが混ざりあうような複雑な心境だった。
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