病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
荷馬車に揺られて体が痛くなってきた頃に日が落ちてくる。
暗くなるにつれて寒さも増していた。

目的の場所についたのか御者の男性にお金を渡してから別れた。
どこかわからない知らない土地にきたコレットは見慣れない町を歩いていく。
どうやらミリアクト伯爵領のように、治安がいいとはいえないようだ。

コレットは恐怖を押さえつけながら足を動かしていた。

『どうせ野垂れ死ぬだけだ』という、父の言葉を思い出す。
貴族の令嬢として育ってきたコレットは社交界では多少評価されることはあっても、外の世界ではこんなにも無力だと思い知らされる。
弱気な考えを振り払うように首を横に振った。

(たとえそうなったとしても、あの家で腐って死んでいくよりずっといいわ!)

コレットは無数の視線と危機感を感じて町に留まること諦めた。

暗闇の中、何もない道をどこまでもどこまでも歩いていく。
寒さで体が震えていた。
自分の体を抱きしめるように温めていたけれど、指先や足先の感覚はほとんどない。
ここがどこなのかもコレットにはわからない。

夜、ずっと歩いていても盗賊や人攫い、獣に襲われなかったのは奇跡なのだろうかと考えていた。
それかこの寒さの中、出歩いている人などいないだけかもしれないが。

(今にも倒れてしまいそう……でもこんなところで立ち止まったら寒さで死んでしまう)
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