病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
ここ二週間、物置部屋に閉じ込められたり、部屋にこもりきりだったりしたことで、ほとんど食べ物を口にしていなかったコレットの体力は限界だった。
視界がぐにゃりと揺れてぼやけていく。

今まで怒りや悲しみによってなんとか動いていた足も、その効力をなくしてしまい、次第に重たくなっていく。
しかしコレットの前には道しかなく、町や明かりも見えない。
今まであんなにも息苦しさを感じていた暮らしも、寒さや飢えに苦しむことはなく幸せだったのかもと思えてくる。

(ううん……これでいい。自分でこの道を選んだんだもの。後悔なんてないわ)

弱気になる自分を必死に叱咤する。
けれど現実は御伽話のようにうまくはいかないようだ。
王子様は迎えに来てはくれない。
自分の終わりを悟ったコレットは息で手のひらを温めながら前を向いた。

(お金があったところで、わたくしにはもう無駄かもしれない……せめて最後に孤児院か教会に行って困っている人たちに寄付できたら、わたくしは思い残すことなんか何もないわ)

そう思っていたのに頭に浮かぶのは友人のアレクシアとエルザの顔。
彼女たちに御礼を言えなかったことを後悔していた。
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