病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
彼女たちに御礼を言えなかったことを後悔していた。
それとコレットが幼い頃に王家主催のパーティーで何度か顔を合わせたヴァンの優しい微笑みを今になって思い出す。
彼らだけはコレットの味方であり大切な人だった。

(もう一度だけ、ヴァンに会って話したかったわ……)

コレットは震える手で荷物を握りしめて立ち止まる。
暗い色のストールの上にはポタポタと涙が溢れていた。

どのくらいそうしていたのだろうか。
雲の隙間から朝日が昇るのを見ながら、コレットは暫く涙を流していた。
太陽がいつもより近くに感じるのに、吐く息は白くて体の震えは止まらない。
目眩がひどくなり、コレットは道の端にあった大きな石の上に座り込んだ。

(次の町で教会か孤児院を見つけてお金を預けたら、わたくしはもうどうなったっていいわ。次の町まで頑張りましょう…………でも、すごく眠い)

寒さからか、はたまた疲れからなのか。
コレットの瞼は重たくなっていく。
こんなところで眠ってしまえば命はないとわかっているけれど、急激な眠気に抗うことができずにコレットは荷物を抱え込んだまま目を閉じた。
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