かつて女の子だった人たちへ
レイキに別れようとメッセージアプリで告げた。芽里がライブに来なかったことを怒っているのか、それとも返答する余裕もないのか、既読はついたがレイキから返信はこなかった。
芽里はアパートの鍵を変え、レイキの荷物はすべて事務所宛てに送った。会社と風俗を辞め、わずかな貯金で引っ越しをした。そして、今の職場にいる。
レイキがその後どうなったのかはわからない。一度だけ『ミルkey』の公式ホームページを見たら、メンバーからレイキの姿は消えていた。
トモカやミヤナが今どうしているかも知らないし、興味もない。
芽里には毎日の生活がある。地味だが、平穏な暮らしをこつこつ積み重ねていく。
それが、芽里の心を安定させていくように思えた。
推しは今いない。それでいい。
ほろ酔いで居酒屋を出ると、夜はすっかり更けていた。四月の街は歓迎会の時期なのか人が多い。ほこりっぽくて、ざわざわしている空気の中を、芽里は唯と並んで歩く。
サンシャイン付近であきらかにライブ帰りと思われる女の子たちを見た。
似た雰囲気のファッションとメイク。推しを主張したバッグからうちわとキンブレがのぞいている。
「あの地下、ライブハウスだったね」
唯が気まずそうに言うのは、芽里を気遣っているのだろう。
「うん。あの子たちキラキラしてまぶしいね」
推しの話に盛り上がり、ライブのセトリやグッズの話をしながら歩いていく十代から二十代前半くらいの女の子たち。
彼女たちの顔は夢中で、そして輝いていた。
芽里はアパートの鍵を変え、レイキの荷物はすべて事務所宛てに送った。会社と風俗を辞め、わずかな貯金で引っ越しをした。そして、今の職場にいる。
レイキがその後どうなったのかはわからない。一度だけ『ミルkey』の公式ホームページを見たら、メンバーからレイキの姿は消えていた。
トモカやミヤナが今どうしているかも知らないし、興味もない。
芽里には毎日の生活がある。地味だが、平穏な暮らしをこつこつ積み重ねていく。
それが、芽里の心を安定させていくように思えた。
推しは今いない。それでいい。
ほろ酔いで居酒屋を出ると、夜はすっかり更けていた。四月の街は歓迎会の時期なのか人が多い。ほこりっぽくて、ざわざわしている空気の中を、芽里は唯と並んで歩く。
サンシャイン付近であきらかにライブ帰りと思われる女の子たちを見た。
似た雰囲気のファッションとメイク。推しを主張したバッグからうちわとキンブレがのぞいている。
「あの地下、ライブハウスだったね」
唯が気まずそうに言うのは、芽里を気遣っているのだろう。
「うん。あの子たちキラキラしてまぶしいね」
推しの話に盛り上がり、ライブのセトリやグッズの話をしながら歩いていく十代から二十代前半くらいの女の子たち。
彼女たちの顔は夢中で、そして輝いていた。